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真実の回帰
心のどこかで思うのだ。
こんなずさんな細工では、真実は隠せないだろう。
僕は嘘とともに死ぬことはできない。
嘘から逃げるために嘘をつきながら死ぬのだ。
本が振動で大きく軋み出した。
するすると事実が立ち戻っていく音がした。
それから一時間後、事務員が彼の死体を発見する。
工事が始まる前に、書庫の本を仮設図書館に移す。
その準備のために夏中通う羽目になっていて、事務員は不機嫌だった。
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