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◇ あらすじ ◇
天宮正鷹は日本全国どこにでもいる中学生である。
強いて他の中学生と違うところを挙げるとすれば、年下の幼馴染が「ゆーしゃ」を自称し、自分を「まおー」呼ばわりしてくるところ。
自称ゆーしゃ曰く、正鷹とゆーしゃは前世で「魔王」と「勇者」であったらしい。
妄想乙、と一蹴しても良かったのだが、なんとゆーしゃ、光り輝く聖剣を召喚する特殊能力を持っていた。
……もしかしたら、ゆーしゃは本当に「勇者」だったのかもしれない。
そんな彼の日常は、ゆーしゃとの追いかけっこに始まる。
光り輝く聖剣を正鷹にぶっささんと目論むゆーしゃとの死力を尽くした追いかけっこである。
正直やめてほしい。
騒がしくも平和と言えなくもない日常を過ごして居た正鷹だったが、ある日、自分の「ゆーしゃ」に対する異常に気付いてしまった。
「ゆーしゃ」の名前が思い出せない。
それに気づいた瞬間、正鷹の「日常」は終わりを告げた。
自分を狙って襲いかかりくる異形のモノ。
己の意思とは無関係に発される魔力にアテられた者が、自分を害そうとしてくる日々。
常に身の危険を感じる日々を経て、正鷹は腹を括った。
斯くして、正鷹は己の前世である『魔王』と向き合うこととなる。
ーー正鷹はまだ知らない。
異世界の女神が自分の身体を狙っていることも。
勇者が命がけでかけた千年は保つはずだった封印が、百年足らずで解けてしまったことも。
度重なる女神の過干渉にブチ切れたゆーしゃと共に異世界にトリップさせられることも、
ゆーしゃからことのあらましを聞いた自分が女神の顔面に拳を打ち込む決意をすることも、
さいわいにも今の正鷹は、何も知らないのである。
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