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違う。そうじゃない。そう言いたかった。けど言えなかった。俺は朝霧に情が湧いてしまっていたのだ。彼らの胸ぐら掴んで叫びたかった。彼は本当はとても優しいのだと。不器用なのだと。それは恋にも似た感情で俺はますます混乱して、涙を流す。涙は止めるすべを持たず、彼らはそれに誤解して。だから俺はその言葉を聞いたとき、彼らの腕を振り払っていた。
“あいつ、必ず潰すから安心して。”
「お願い、一人にして。」
振り払われた男子生徒はぽかんとした表情で見つめていたが涙声で訴える俺にさらなる慈愛の目を向け、他の奴らと俺のもとから離れていった。
そうだ。俺は今親友に裏切られた哀れな人としてクラスメートからみなされているのだ。周りを見渡したが朝霧はおらず午後の授業が始まっても、放課後が来ても朝霧は教室には来ず結局俺は会えなかった。こういう噂は生徒たちの間でおどろくべき速さで回る。俺と朝霧の関係は今日から大きく変わった。
“裏切り者と憐れな友人”
へと。
俺の恋心にも似たその形容し難い感情と共に。
太陽は俺らの関係まで溶かして彼らは彼を追い詰める。
そして儚い命を遂げるのだ。まるで蝉の様に…。
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