第4章

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第4章

全ては夏の幻想のように  重すぎる足を親に心配をかけないために学校へ向ける俺は教室に入ってやっぱり来なきゃよかったと思わず背を向けたくなるような光景が広がっていた。朝霧はまだ来ていない。だがそれをいい事にクラスメートはやり放題だった。机の落書きはもとの木の色なんかわからないくらいで、おそらく仕込まれたであろくカッターの刃は遠くからでもわかるほどで。こいつらいじめに慣れてないんだなと冷静に考えると同時に朝霧がこの光景をみたらきっと悲しむだろうなと思っていた。それでもその光景はどこか楽しかを帯びたもので、俺は彼らを見ないように席につくと寝たフリをした。まぁ、実際昨日は寝てないし。朝霧のことを考えてたら寝付けなかったなど乙女な理由だがそのことは俺しか知らないのだから別にいいのだ。          「実は朝霧は一週間停学になった。お前らも知っていると思うが最近の部活荒らしの犯人は朝霧でその責任を取って一週間停学になった。朝霧に灸をすえてやろうという気持ちは有り難いがそんなに汚れた机では朝霧も集中して勉強できないから後で捨てておいてやれ。」        そう平然とことを並べる担任に俺は寝たフリをしつつも腹わたが煮えかえる気持ちだった。だって担任はいじめを平然と認めたも同然のことを言ったのだから。確かに部活荒らしの件は俺だって朝霧に非があるとは思うし、許されない事だ。俺だって朝霧があんなこと言わなければ彼らと同じ立場にいただろう。自分の部活が荒らされたのだ。特にサッカー部なんかどれだけ悔しい思いをしたか。けれども、けれども        “虐める必要は在るのか”
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