第2章

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無慈悲な学校の時計は正常に5時42分を指していて。そして俺は思い出す。昨日のことを。      「そうそう、この時計壊れてるから。部屋の時計で時間見てねー。」    という母親の声がのんきに鳴り響いたことを。      「オー。」    疲れていた俺が適当に返事してそのまま記憶することなく、寝たことも。    「まじかよ…。」    足が痛い。腕が痛い。何より頭が痛い。俺馬鹿だわという自嘲の念と酸欠で。でも少し安心した。朝練には遅れていなかったのだから監督の腹筋崩壊は無いわけでほんとよかったと安堵する。  しかし、朝の5時30分なんかに校門が開いているわけもなく、完全にしまっていたがそこは男子高校生。足をかけて軽く乗り越える。だが、教室まで行く扉は鍵がかかっており入れない。昇降口で待つしかない…というわけでもなく、この学校なにせ古い。そして学校あるあるである。      「よっこいしょ。」      俺は裏に回ると図書室の窓を軽く校門前に落ちていた木の棒で鍵のある部分を叩く。そうするとネジがゆるい図書室の窓の鍵はストンとしたに落ちる。別に誰かが壊したわけではない。これに気づかず直しもしない学校が悪いと生徒の間では暗黙の了解となっている。空いた窓をカラカラと開けて俺は職員室まで行く。誰もいない廊下は夏の暑さなど忘れたように静かで涼しい。職員室は常に冷房付きなので生徒が入り浸る。そのため、生徒が入りやすいようにいつも内側の鍵はかかっていない。俺ながらゆるい学校だと思っている。職員室から体育館の鍵と部室の鍵を取ってもと来た道を取って外に出て、体育館の鍵を開ける。そして手を扉にかけたときだった。  
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