第2章

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ガラガラガッシャーン!!       何かが音を立てて崩れた。俺は慌てて体育館に入り、音源を探す。      バン!ガコッ!ガラガラー!    何重にも続いて鳴り響く音に俺は血の気が引いた。その音の発信源は俺の…俺達の部室からなっていて!      「部活荒らしか!」    俺はその扉を開ける。勢い余って壁に打ち付けられた扉の音にその肩が跳ねる。    「何やってんだ!」    振り向いたその顔は俺の知っている顔で。でも話したことなんかない顔で。      「あーあ、見つかっちゃた。」      残念そうに、でもどこか楽しそうに笑う顔の周りには俺達が今まで取ってきたトロフィーや白いタオル、先輩たちが大事にしていたバレシューが薄汚れていて。    「僕の名前は朝霧 優。ところでモノは相談なんだけどね、」      朝霧 優。俺と同じクラスの目立たない男子ナンバーワンの獲得者。そして…。      「この事、黙っていてくれない?」      部活荒らしの犯人でもあった。  ようやく鳴き始めた蝉と太陽の明るさが体育館と俺達を包んで溶ける。
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