うそつき

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 朝の教室は騒がしい。  先生が朝の会を始めるまで、この騒がしさは続く。教室に反響する雑音に耳をすませる。下らない話の波が見える。  「昨日のテレビ見た?」「まだいるのかな!?」「へぇ~、好きなん」「授業やりたくな」「サボりたいよ」「分かるー」「見たい見たい!」「……」  小学生のぼくにとってこれは毎朝の光景だ。四年生になった今でも一年生の頃から変わっていない気がする。  一見すると、仲良く話をしいるばかりに見えるが腹の中では、何を考えているのか皆分からない。ぼくはそれがただ恐ろしかった。  どこのクラスでもあるだろうけど、クラスには、グループ(派閥と言ってもいいかもしれない)がいくつかあり、それぞれにはリーダー的な存在がいる。  この四年四組は、山峯昇という男子児童一人に支配されている稀有なクラスだと言える。もっとも、本人は無意識にそれをしてるようだけど……。 「おはよう~」  隣の席の百井が挨拶をしてきた。ぼくに挨拶をするのも百井くらいだが、百井に挨拶をするのもぼくくらいなものだから、仕方なく挨拶を小声で返す。 「おはよう……」 「いやー、寝坊しちゃて焦ったよ」 「そうか……」 「あ、そろそろ
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