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【あらすじ】
某県、某市、某山奥に『シンデン』と呼ばれる場所があった。
『シンデン』は周辺の住民やその親族などの一部の人間にしか知られていない秘境であった。
16歳の少年”稚子塚 良路(ちごづか りょうじ)”は、『シンデン』の管理を引き継いだ祖母が、敷地内の掃除をするというので手伝いに来ていた。
掃除が終わる頃、急な土砂降りに見舞われ、良路は母親に車で迎えに来てもらう。
車に乗り込もうとした際、バッグを『シンデン』の中に置いてきてしまったことに気づき、良路は一人で取りに戻る。
バッグは『シンデン』の最奥の部屋で見つかった。その部屋には、とても美しい女神の像があり、良路はその像に心酔していた。
その女神の像にいつものように見とれていると、轟音と共に激しい稲光が良路の視界を奪ったかと思えば、良路はそのまま意識を失っていた。
目を覚ますと知らない部屋におり、部屋から出ると長い廊下であった。
しばらく歩いてみると一ヵ所気になる扉があった。その扉を開けることができた良路は、中に入り奥へ進んでいく。
進んだ先で、良路はベッドで寝ていた女の子、グロムデア王国の王女”アザレア”と対面する。
アザレアは『シンデン』で見た女神様の像と瓜二つであった。
王女の護衛として城に仕える隣国エピノルデ王国の王子”ニガ”によって逮捕され、その際に再び意識を失う。
逮捕された良路は一度、老研究者の”ブルーベ”とその助手の”フウロ”によって身体検査と”ちょっとした実験”をされた。
病室で目を覚ました良路は、ブルーベとニガに会話と尋問を重ねるうちに、いくつかの説明を受ける。
”ちょっとした実験”によって手に埋め込まれたチップの効果で、ブルーベやニガ達と言語の壁が取り払われたこと。
王女アザレアが幼少期から心臓に病を患っており、移植以外の治療法が見つからないことと、アザレアが移植を渋っていること。
だが、アザレアにもう残された時間は少ないと判断したブルーベら研究者の会議によって、最終手段としてアザレアの意志に反し『心臓移植』をすることに決定したこと。
そして、身体検査によって良路がアザレアのドナーとして『完全に適合』したこと。
以上を語った後、ブルーベとニガは、良路に頼み入る。
「心臓をもらえないか」と。
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