1 嗤う男

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スカルヘッドは焦っていた。我々がなぜ窮地に陥っているのか。こんなはずではなかった。私は「組織」に所属する傭兵である。殺せない敵などいままで存在しなかったし、任務に失敗したこともなかった。大金を払いサイボーグになったのも、世界を手に入れるためだ。後悔はない。私は最強になったはずではないのか―――― スカルヘッドは右腕のバズーカ砲を放った。収録を行っていたスタジオが吹き飛ぶ。威力は絶大で、天井や壁が破壊され、土煙が上がる。床に大穴があいた。崩れた壁から夜風が入ってくる。今夜は新月であり、月は顔を出さなかったが、夜空に星が映し出されていた。カメラは奇跡的に破壊されず、一連の所業を放送したままだった。 土煙が晴れると、刀の男の姿はなかった。スカルヘッドは勝ちを確信し、叫んだ。 「どうやら貴様も『参加者』だったらしいな!まさかここまでやられると思わなかったが、予定通り世界は私がもらッ」 スカルヘッドは頭から足までを輪切りにされていた。0.5秒の早業であった。自分を最強だと信じていた男の姿は肉塊に変わっていた。 生存者は、刀の男ただ一人。 刀の男は、血に濡れたその姿をカメラに向け言った。 「世界をもらうのは俺だ」 男は嗤っていた。
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