2 蠍

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その瞬間、蠍は勢いよく鬼頭の体をガラスに向かって投げた。ガラスは割れ、鬼頭の体は空中に投げ出された。10階の高さである。助かる由も無かった。鬼頭の目には最後の空が映っていた。今夜は新月であり、真っ暗で、何も見えない。 地面と人のぶつかる音が夜の空に響いた。乾いた音であった。 仕事を終えた蠍に、電話がかかってきた。 「『蠍』だァ。ああ。・・・・・。いいぜェ、報酬はいくらだ」 電話を切り、蠍は、次のターゲットについて考えていた。次のターゲットは、刀の男。息の根を止めてこいとの依頼であった。 「面白そうじゃねえかァ。楽しみだぜ」
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