_

2/11
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
ホームに降り立った瞬間体が汗ばむ。おでこ、首、背中、膝の裏からじんわりと汗が滲み出てくる。梅雨が明けたと思ったらもう夏がきた。連日の真夏日に頭がくらくらしてくる。クーラーの効いた電車の中に後ろ髪を引かれながら、それでも学校への坂道を上り始める。 坂の上に高校を作ろうと思いつくなんて偉い人はきっと馬鹿だ。夏は暑くて冬は寒くて、恨み言しか出てこない。朝からじりじりと照りつける太陽は肌を焼き焦がすようで、日焼け止めを塗った足をかばいながら建物の影を選んで歩く。靴下焼けするの、本当に嫌なんだよね。ため息をつきながら顔を上げると、やっと目的地に辿り着いた。 眼下に海を望む坂の上に建てられた高校は、白い外壁で太陽の光を跳ね返しながら生徒たちを迎え入れる。高校二年生。最も中弛みした学年。最も中途半端な学年。なんとも気楽な高校生活だ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!