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車がカラスのように空を飛び去っていく。分厚い雨雲が広がる曇り空は、街中のライトに照らされて、とっても明るく輝いていた。男の子は、星の数くらいある送電線が作る影を避けて、顔を振って汗をしっかり落とした後、ランドセルから科学雑誌を開いた。男の子は1ページ目の『人類の火星衛星移住計画完成!木星衛星も?』と書かれたところをじーっと見ながら、度々入ってくる影を邪魔そうにしてスクールゾーンを歩いていった。男の子が道を曲がって大きな通りに出ると、ビル群の真ん中には宙に浮いた真っ白なバン。「この空から星を取り戻そう!」と書かれたタスキを胸にかけた男の人は、黒のケープのようなものを羽織っていて、バンの上で何か大声を出している。 「我々オブザーバーは、プリザーバーが掲げる経済3カ年計画に反対する!我々は地球から美しい環境、綺麗な夜空を取り戻す!地球は経済の肥やしではない!それだけでない!プリザーバーは宇宙災害を軽視している!そのために我々は宇宙の神秘の力を利用し、予想し得る宇宙災害を未然に解決し・・・」     
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