滅びゆく地球は美しい

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男の子が横切ったバンの背景のビルには巨大なモニターが情報番組を映している。そこには『プリザーバー 支持率85%』の文字と、スーツを着た男二人組。
「オブザーバーが安全と環境が大事と言って原発を止めた結果、電気が足りず経済は悪化いたしました。更には足りない電力を、目先のコストが安い火力発電で補うことで、急激な気候変動を招いたと非難されて、国連から制裁措置を受けたのです。本末転倒なものです。オブザーバーによって崩壊した国を立て直したのが今のプリザーバーでありまして。」
「まったくおっしゃる通りだ。その上神秘の力を使うとか言って国民を不安にさせるばかりだ。この国に必要なのは超能力ではなくエネルギーでね。だから全ての地域に都市レベルの電気を送れるよう、町中を覆う電気インフラの整備を行ったんだよ。当初は国民からきつい反発も受けたものだが、国民の生活が安定すると理解を受けて、不便を表す「田舎」と呼ばれる場所はなくなった。今じゃどこでもニューヨークのような街並みだし、誰も反対はしない。だいたいオブザーバーは・・・」