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和恵さん
「兄を待たずに食べましょう。
どうぞ。」
食卓にはカレイの煮付け、芋の煮っころがし、ホウレン草のゴマ和え、小魚の佃煮、けんちん汁が並んでいた。
彼女の食事は和食が多いようだった。
食事の途中で山元が帰ってきた。
「ただいま。
けんちん汁か、旨そうだな。
ああ、明日はガッツリ豚カツを頼む。
明後日は勝負の日だからな。」
「勝負?
ああ、大口の取引のプレゼンの日か。
何、お前げん担ぎするの?
ガッツリ食べたらかえって胃もたれしたりしないのか?」
「おう、任せておけ!
ガッツリ食べるのが俺流だからな。
大槻はもう、胃もたれの心配か?」
「まあな、もうすぐ30歳になるから、そろそろ食事も気を付けないと肥えるからな。」
和恵さんは小柄だが、兄の山元はガタイの大きな男だった。
まだ引き締まった体付きなので、肥ってはいないが、年齢と共に腹が出る男が多いので要注意だろう。
俺の食事は外食かコンビニ弁当が多いので、和恵さんの料理はとても有り難い。
居候を解消後も金を払ってでも食べたい料理だった。
「分かった、豚カツね。
そうそう、食事の後でスーパーまで車出して欲しいの。
豚カツの材料とか、米とか買うから。」
「了解で~す!
大槻も何か必要なものがあるなら、一緒に行くか?
留守番でも良いけど。」
「あ~、カミソリとか欲しいかな。
一緒に行くかな。」
近所の夜中までやっているスーパーまで買い物に行く事になった。
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