和恵さん

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和恵さんは車の免許は持っているのだが、ほぼ運転はしないようだった。 もっぱら交通機関を利用するか、兄の山元の運転する車に乗るみたいだった。 自分はズボラなので、一人暮らしすると家事はやらなくなって、料理もせず栄養失調になるだろう、って笑ってたりする。 あんなに料理上手なのに、自分一人の為だけにはやりたくないと言っていた。 だから、兄の山元や俺がいれば張り切って作る気になるらしい。 そういえば和恵さんはやる気にムラがあって、なんでもこなすが興味が失せればやらなくなるって山元が言ってたっけ。 自分一人の為に料理するのは嫌だって事は、俺の為に作ってくれって言ったらやる気が起きるのだろうか? 山元だっていつまでも独身って訳でもないだろうから、兄妹で住むのも期限がくるのではないだろうか? あわよくば俺が立候補してみるか? だが、和恵さんの事を気に入ってはいるが、恋愛感情としてはどうだろうか? イヤ、イヤ、俺は一体、何を考えているんだ? まだ会って数日の女性じゃないか。 居候させてもらって面倒を掛けているとは言え、ずっと一緒に暮らしたいだの、結婚だの、まだまだ早すぎるじゃないか。 それもこれも、山元の奴が和恵さんを捕まえておけ、みたいな事言うから悪いんだな。 そうだ、俺はまだ怪我人で、気持ちが弱っているんだ。 うん、そうだ! そうに決まっているさ。
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