64人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
大槻圭吾さん、兄と同級生の29歳。
中学、高校と兄と同じ学校で学び、大学は別になったが、就職して見れば又同じ職場という、腐れ縁だったらしい。
初めまして、と言いたい所だが、実は中学の頃何度か会っている。
兄達が高校二年生、私が中学二年生の頃だったか。
当時、何度か遊びに来ていた大槻さんを兄と比べてカッコいいと思っていたのだ。
クッキーやパウンドケーキなんかを焼いておくと、食べ盛りの彼らが食べ尽くしてくれるのが嬉しかった思い出がある。
まあ、大槻さんは妹の私が作ったとは思わず、母の手作りだと思っていたようだが。
直接は話した記憶はない。
中学の頃は人見知り気味だった私はすぐ部屋に籠ってしまっていたので、きっと私を認識した事はなかっただろうと思う。
高校生になり、それまでの人見知りが嘘のように社交的になったと言われた。
色々な事に挑戦したくなったのも高校になってからだ。
私が仕事のアシスタントにつくと聞くと、スゴく驚かれた。
会社の社長が叔父だと言ってなかったようなので、融通がきく訳がないと思っていたようだ。
私の仕事の能力にも疑いを持っていたようで、面倒なものを押し付けられたと感じたと思う。
初出勤の日、着替えた私を見て
『誰?』
と失礼な事を言っていたが、自分でも化粧で化けるのが巧いなとは思っている。
基本、部屋着のスウェットだったりするから、スーツを着ると背筋が伸びて社会人モードになれる気がする。
まあ、三ヶ月も同じ所で働けば飽きてしまうのが私の欠点なんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!