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兄の友達は私の何?
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兄から支離滅裂な電話があり、状況を理解するのにかなり難儀した。
要約すれば、友人である会社の同僚に怪我を負わせてしまったと言う事だった。
救急車を呼び、叔父である会社の社長に連絡を取り、今は手術中らしく私にどうしよう、と泣き付いて来たようだ。
命に別状は無いようだし、骨折はしているが、単純骨折のようで、アスリートでも目指す訳でない限り後遺症も心配無さそうだし。
退院してからの生活が不自由になるだろうなあ、と想像すれば、
『退院したら、しばらく家で暮らしてもらったら?』
そう言っていた。
鼻水をグズグズいわせながら兄は
『悪い、頼む。』
と言って通話を終えた。
果たして一週間程が経ち、その人がやって来た。
ギプスてで固めた足に松葉杖をついて、いかにも不自由そうに歩いている。
この家は祖父母の生活していた家だから、あちらこちらに手すりが付いていたり、段差が無い仕様になっていたり、車椅子でも過ごし易いように風呂やトイレが広くもうけられていたりと、年寄りや体の不自由な人には優しく出来ているから、彼のような怪我人が暮らすにはうってつけの環境だろうと思う。
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