【00】プロローグ

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 職業上の勘のようなものである。 「一成(かずなり)さん。もしや他に何か気になさっていることがあるのでは?僭越(せんえつ)ですが、俺がお力になれることでしたら遠慮なくおっしゃってください」  一瞬、驚きの表情になった後、クスリと笑った一成は、 「ここまで『人』を読む目をお持ちとは改めて感服しました……さすが、あの精鋭『96(キューロク)』の班長である肩書きは伊達ではありませんね、本当に素晴らしい」  と、愛しそうにアザミを見つめながら続けた。 「どうやら私は、命を狙われているようなのです」 「ほぅ、またですか。無駄なことを」  アザミは、一成が今まで何度も命を狙われてきたことや、この屋敷の警備が厳重であり、さらに各国から選りすぐりの一流ボディガードが配備されていることも知っていた。 「まったく同感ですが、今回の敵は手強そうなんですよ。すでにボディガードが一名殺されました」  そう言いながらも南賀淵(みなみがふち)の当主から命の危険を恐れている様子は見られず、まるで先制点を取られたゲームをどう逆転しようかと楽しんでいるふうでさえあった。
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