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職業上の勘のようなものである。
「一成さん。もしや他に何か気になさっていることがあるのでは?僭越ですが、俺がお力になれることでしたら遠慮なくおっしゃってください」
一瞬、驚きの表情になった後、クスリと笑った一成は、
「ここまで『人』を読む目をお持ちとは改めて感服しました……さすが、あの精鋭『96(キューロク)』の班長である肩書きは伊達ではありませんね、本当に素晴らしい」
と、愛しそうにアザミを見つめながら続けた。
「どうやら私は、命を狙われているようなのです」
「ほぅ、またですか。無駄なことを」
アザミは、一成が今まで何度も命を狙われてきたことや、この屋敷の警備が厳重であり、さらに各国から選りすぐりの一流ボディガードが配備されていることも知っていた。
「まったく同感ですが、今回の敵は手強そうなんですよ。すでにボディガードが一名殺されました」
そう言いながらも南賀淵の当主から命の危険を恐れている様子は見られず、まるで先制点を取られたゲームをどう逆転しようかと楽しんでいるふうでさえあった。
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