646人が本棚に入れています
本棚に追加
スリムなスーツ姿の下に隠された、普段から鍛えられているしなやかな筋肉が存在感を示す。
「私は……政を左右する力よりも、貴方に今以上の幸せを与えられる男になりたい」
「一成さん?」
突然の情熱的な告白に驚いたアザミの唇を、若き当主が再び塞ぐ。
そのままキスは次第に深く濃厚になっていき、濡れた音と共にアザミの鼻から切な気な声が漏れ始めた。
「んっ……ふ……ぅん」
しかし一成は、全身にじわりと汗が滲み出すほどの欲情を自覚しながらも、半ば強引にアザミから体を離した。
「アザミさんが欲しい……欲しくてたまらない……ですが、やはり自分の気持ちにだけは嘘は吐けませんね」
ビジネスの関係としてではなく、人生のパートナーになって欲しいのだという一成の真意を感じたアザミは、服の乱れを直しながら丁重に詫びた。
「その件に関しては本当に申し訳ありません……しかし、俺はそこまで価値のある男ではありませんよ?」
最初のコメントを投稿しよう!