第二章 いざ、「呪いのバス停」探索に出立

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「おかしいな・・・」 タツヤが不思議そうにバス停を懐中電灯で照らしながら呟いた。 「ん。どうした」 マサルがその呟きに反応した。 「普通さ。バス停ってさ、停留所名が書いてあるだろ。いくら錆びついいるからと言っても、 痕跡ぐらいは残っているものだと思うのだが。全くその跡がない・・・」 マサルもタツヤに言われて、バス停の本来、停留所名が記載されるあたりに懐中電灯の灯りを照らした。 「そうだな。それに時刻表も空欄だ。もしかして、『呪いのバス停』ではなくて、単なる設置前のバス停の産業廃棄物かも知れないな」 「いいじゃないの。これも青春の思い出よ。皆でバス停を背景にもう一枚撮るわよ」 ミチコはデジカメを持った右手を大きく前方に翳した。 「ハイ、チーズ」 「パシャ」 デジカメのシャッター音が静寂した闇夜に響いた。 「さてと、記念撮影も終わったことだし、皆さん、そろそろ帰りますか」 マサルが声を掛けた。 「待って、まだ終わっていない」 ミチコがマサルの解散の合図を急いで打ち消した。 マサルには何のことか分からなかった。 「どういうこと」 「マサルがさっき言ったように、まだ本物の『呪いのバス停』なのかどうかは確かめられていない
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