第一章 「呪いのバス停」って知ってる

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「一応ね。科学者を目指すものとして、エビデンスを重視するのは基本だからね」 「あんた、また、あたしらには分からない専門用語を持ち出して・・・」 ミチコは何かにつけて論理的な解釈を付けたがるマミコが疎ましくある反面、自分が至らない所を補完してくれるマミコに感謝もしていた。ただ、素直にその気持ちを表現することは苦手だった。 「エビデンスって、簡単に言えば、物的証拠のことだよ」 いつの間に現れたのか、マサルが解説を付け加えた。 「マサル・・・」 マミコは助かったとでも言いたげな表情をマサルに向けた。 「やだね。マミコ、顔赤いよ。もしかしてあれかい」 「違うわよ」 マミコは声を荒めにミチコを睨み返した。  マミコにとって、マサルは異性としての好き嫌いの対象ではなかった。自分が不得意とする一般人への説明をマサルが代行してくれたことに感謝の意を感じていたに過ぎなかった。
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