53人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
「シンジならここにいるよ」
タツヤがスマホを彼女達の前に突き出した。スマホの画面にはシンジらしき人物が写っていた。 そこには、『十代後半の日本人男性の遺体、テヘラン郊外で見つかる。死因は不明』と
書かれていた。
「昨日、ネットで偶然見つけた。なっ、なっ、ソックリだろ」
タツヤは、鼻高々な顔を女子達に向けた。
「ようよう、タツヤ。自分だけヒーローぶって。オレがやったネタじゃないか」
どこからいつの間に現れたのか、いつものことながら神出鬼没のマサルが口を挟んできた。
「どういうわけ・・・」
ミチコがマサルの方に顔を向けた。
「昨日、学校裏サイトを見ていたら、シンジに関する書き込みがあった。そこでその記事を見つけて、オレがタツヤに送ったってわけさ」
「なーんだ、マサルの入れ知恵か。タツヤのモテ度はマイナス五十点」
ユカリが喜んで茶化した。ユカリの一言で、ゴシップとして片づけらようとしていたその時、「でも、この写真がシンジくんかどうかは、分かんないじゃない」
ミチコの一言が、皆を一気に現実の世界に引き戻した。直面する事の重大さを伴って。
最初のコメントを投稿しよう!