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「そうよ」
マミコはさも当然と言った表情でミチコの疑問に答えた。
常人には理解できないマミコの思考回路に、ミチコは怒りを通り越して呆然とするばかりであった。
「ミーコ、見て、見て。こっちがタツヤの持って来た写真。そしてこっちが軍事衛星の映像。
一致するでしょ。この軍事衛星の映像は凄いわよ。解像度が抜群、だからいくら拡大しても、ほら、画像が劣化しないでしょ」
マミコは軍事衛星の画像をうれしそうに拡大して見せた。
もはや、ミチコとタツヤにはマミコが何をしようとしているのか、何がしたいのかは理解できなかったが、ここまで来た以上、マミコなりの結論が出るまでは引き上げるわけにも行かなかった。
「鞄から何か紙が出ているわね。プリント用紙みたい。もっと拡大してみるわね」
そう呟いて、マミコは画像を拡大していった。
「あっ、これ、ここにシンジくんの名前が書いてある」
ミチコが目を大きく見開らいて、画面を指さした。
「これって、先日の化学の試験の答案用紙じゃないのか」タツヤが指さした。
「あたしの記憶では、化学の試験の答案用紙が先生から帰って来たのが九月十五日の正午。
軍事衛星で映像が記録されたのが九月十六日の正午。従って、タツヤくんが失踪したのは十五日の正午から十六日正午の間。およそ二十四時間」
マミコは解説を終えると、またパソコンに向かい始めた。
「問題はこの二十四時間に何が起こったかだわね」
ミチコが得意の纏めに入った。
「マミコ、せっかく軍事システムに侵入できたのだから。続きを調べられるだろ」
タツヤの問い掛けを無視するかのように、マミコは懸命にキーボートを打ち込んでいた。
「よかった。間に合ったわ。これで大丈夫よ」
マミコは安堵の表情を浮かべて、二人に向き直った。
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