第四章 新たなる疑惑への挑戦

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「マミコ様の大丈夫は、いつもながら常人には理解不能だよ、全く」 「危なかったのよ。後十秒遅かったら、侵入プログラムに検知されて三人とも刑務所送りよ」 「それじゃ。ぼちぼち引き上げますか」 タツヤがそう言って椅子から腰を上げようとしていると、マミコの声が耳に入った。 「もしもし、ジーチャン。データは送った。今からそっちに行くから助けてくれない」 そう言い終わって携帯を切ったマミコは二人に向き合って、「じゃ、これから出発よ」と当たり前のように告げた。 「今日じゃないとダメですか。今日じゃないと。もう夜中の二時ですけど」 恐る恐るタツヤが訪ねた。 「科学の競争は一分一秒が勝負よ。北米では今この時間でも大勢の人が働いているわ。さあ、行くわよ」  ミチコもタツヤもお互いの顔を見合わせた。日本と北米では九時間以上の時差があるからあたり前と二人とも思っていたが、マミコのあたり前の前では二人のあたり前は通用しなかった。  あっけに取られるミチコ達をよそに、マミコは一人、早々と教室の扉に向かっていた。 ミチコとタツヤも仕方なくマミコの後を追ってコンピュータ室を出た。 「もしもし・・・」 ミチコはおもむろにスマホを取り出して電話を掛けていた。 「ミチコ。お前、何をしている」 ミチコの挙動に疑問を感じたタツヤが訊ねた。 「じゃあ、宜しくお願いします」 「これで大丈夫よ」 ミチコはタツヤの方に向き直って言った。 「ミチコまで・・・」 そこまで言い掛けて、タツヤは口をつぐんだ。
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