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第一章 「呪いのバス停」って知ってる
平凡な日常の平凡な風景。物語の始まりがいつもそうであるように、この物語も平凡な高校生達のいつも通りの朝の何気ない会話から始まった。
「ねえねえ、知っている。マミ」
ミチコは席に着いたばかりのマミコにせっついた。
「今、ネットで話題になっている『呪いのバス停』の話」
ミチコは焦点の定まらない眠気眼のマミコの顔面に、いきなりスマホの画面を突きつけてきた。
「見た、見た、オレも」
クラスでお調子者のタツヤが二人の団らんの中に割り込んできた。
ミチコはいつもながらのタツヤのそんな無遠慮な態度にいささか不愉快だった。
「あんたになんか聞いてないわよ」
「これね、昨日、ミチコがメールして来たアレでしょ」
マミコは視界を遮るスマホを、まるで目の前を飛び交う煩いハエを追い払うかのように右手で払いのけた。流行のトレンドを追掛けるミチコと違って、科学者を目指すマミコには、俗世間の流行は全くと言っていいほど興味がなかった。
「ただの噂話でしょ。写真も載ってないじゃない」
「なーんだ。興味ない、ない、と言っているわりには、ちゃんと調べているじゃない」
ミチコはマミコのおでこを小突きながらうれしそうにはしゃいだ。
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