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第二章 いざ、「呪いのバス停」探索に出立
マサルは自宅の自分の部屋で、今日も受験勉強に励んでいた。
『もう十二時か』マサルは部屋の掛け時計を見上げて、心の中でそう呟いた。
「ブー、ブー」
マサルの携帯が勉強時間の終わりを告げるかのように、夜中の静寂に鳴り響いた。
「なんだ、今頃」
マサルは不思議に思ったが、反射的に携帯を手に取って耳にあてがった。
「オレだ。オレ、オレ」男の声が耳に入った。
「オレ、オレって、オレオレ詐欺じゃあるまいし」
「オレだよ。タツヤだよ」
「なんだよ、こんな時間に。もう夜中じゃないか」
「実は、例の『呪いのバス停』だけど。場所が分かった。それで、ミチコとマミコの三人で行くことに決めたのだが、マミコが途中で足くじいちゃって。ちょっと、大変な事になっちまった。お前も来てくれないか」
「救急車呼べばいいだろ」マサルは素っ気なく答えた。
マイペースのマサルにとって、自分の立てた時間割を他人の都合で変更されることは気に入らなかった。だからこそ、気乗りのしない受験勉強も着々とこなしていけるマサルであった。
「そんなこと言わずに頼むよ。こんなことを学校や親にばれたらどうなるかは分かるだろ」
マサルとて、親友のタツヤの頼みを無為に断る気にはなれなかった。
「しかたないな。今から行くから、さっさと場所を教えろよ」
マサルがそそくさと外出着に着替え終わったのを見計らったかのように携帯が鳴った。
マサルが携帯を手に取るとメール着信が届いていた。
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