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乳母車
ある日風邪をひいた私を祖母は乳母車に乗せ
かかりつけの病院に連れて行く途中の長い坂道を歩いて居た時の出来事…
その坂道は所処に小さな段差があり
二つ目の段差を越えた時に
前から歩いてくるオバサンが祖母に向かい
「奥さん！大変！赤ちゃんが落ちてますよ～」
と、大声で叫んでいたらしい…
（何を…変な事を言う人だなぁ～）
と、祖母は気にも止めずに乳母車を押した
グッ…グッ…
力を入れて押しても乳母車が動かない…
その様子を見ていたオバサンは
「赤ちゃんが落ちてますってばー！」
と、前から走って来たらしい。
昔の乳母車は底が深く
日差しを下げると乳母車の中は見えない…
前に回り込んだ祖母は寝たままの状態で、乳母車から砂利道の上に滑り落ち…あちらこちら擦り傷を作り…血を流しながら眠る私を見て
「こりゃあ…大物になるわ…」
と呟き…
風邪で病院に行ったはずなのに…絆創膏だらけになって帰って来た娘を見て…母は
「お爺ちゃんに怒られる…」
と思ったそうな…
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