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眠れぬ夜。布団の中で、ふと思考する。
私は毎日死んでいるんじゃないか。こんな得体の知れない考えが頭に浮かぶ。
なんでも私の体の中では、毎日何億個という膨大な数の細胞が死んでいる、という。と同時に、それと同等ぐらいの数の細胞が新たに生まれているのだとか。
つまり、私は毎日生まれ変わっているわけだ。しかしながら、見ようによっては、私は毎日死んでいるとも言える。
ということは、現在の私と過去の私は等しくない。せいぜいほぼほぼ等しいぐらいだろう。要するに、私という意識もしくは自我は三百六十五日死を繰り返しているのだ。
昨日の私はすでに死に絶え、今日の私がいる。過去の記憶を共有した、非常によく似た別人。過去の私から見れば、現在の私はこういうふうに見えるのかもしれない。
われ思う、ゆえにわれあり。ここに出てくる、われすら一過性の存在でしかないことになる。そうなると、過去なんてものは信用に値するものではない。ただの妄想にすぎない。
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