1.キミがずっと

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1.キミがずっと

私、大畠胡春(おおはたこはる)には、隣の隣のお家に住んでいる幼なじみがいる。 名前は兼森駿太(かねもりしゅんた)。私と同じ高校に通う1年生で、今のところ幼稚園に小中高と同じ学校に通っている腐れ縁。 ……ていうのは、嘘。 高校分かれるの嫌だなって思って合わせたのは私の方。本当は私の学力(あたま)的にはちょっと厳しかったんだけど、恋の力は思った以上に無限大だったみたいで、奇跡を起こして受かったというわけです。 そう、私はこの幼なじみ、駿ちゃんの事が好き。 幼なじみが好きってありきたりって思う?まあ、私も思うけど。でもありきたりって言われることには、それなりに理由があると思う。 幼なじみを好きになったきっかけなんて思い出せない……ううん、寧ろありすぎて、かな。1番最初から、1番長く一緒にいた男の子。ずっと隣で、困った時に助けてくれた男の子。 ずっとそばに居たら飽きないか、嫌な所が見えてこないか、って? それがどうしたことか、一緒にいればいるだけどんどん好きな所が増えていくのだから困ったものだ。 気づいたら好きだったし、今でもずーっと好きなまま。 何を隠そう、駿ちゃんが私の初恋で、唯一の恋。 まあでもしょうがないよね、駿ちゃんより素敵な男の子がいなかったんだから。 駿ちゃんはうちの高校ではちょっとした有名人。それは何故かと言えば、入学式の時にイケメンがいるって騒がれてから1週間くらい顔を見に他のクラスから沢山の女子がやって来たから。 高校でできた友人曰く、「こーゆー噂って誇張が多いけど、兼森くんは期待以上でした」との事。 因みに意外な事に駿ちゃんは顔はいいのに彼女を1回も作ったことがなくて、そこも硬派で良い!と好評の様子。 でも、ってことは……『幼なじみ』の私が1番近い女の子ってことでしょ? 年月を経るにつれて見た目はちょっと……いや結構チャラくなったけど中身は変わらず凄く優しいとか、一見ちょっと怖そうな目つきはただ近眼なだけで実はそれを気にしてるとか、口調がぶっきらぼうなのは照れ隠しで、あんまり人と関わらないのは人見知りなだけ、とか。 本当はかっこいいだけじゃない駿ちゃんの、そんな可愛い所を知っているのは私だけ。 駿ちゃんの本当の魅力を知っているのは、私だけ、でしょ……って。 そう、思ってた、けど。
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