私が、死んだ理由

「友だち」

…よくわからない。
この部屋の来歴は誰にも、実家にも話していない。
最近は事故物件を検索できるWebサイトもあるようだが、そもそもこの家に人を招いたこともない。
俺と、この部屋と、白骨死体の事件を結びつけることは誰にもできない。

「寝ているところタオルを顔にかけられ首を絞められた」
「犯人の顔は見ていない」

当時の状況が矢継ぎ早に語られる。

『で、俺に連絡してきたのはなぜ？』

「私が死んだ理由が知りたい。」

彼女の死は警察には突然死として処理されている。
当時のニュースにも事故物件サイトの情報にも、「白骨死体事件」としかない。
白骨化していたため、絞殺痕が確認できなかったのだろう。
また、事件性がない、と警察が判断したということは強盗の形跡もなかったのだと思われる。
が、彼女が言うには寝ている間にこの部屋に侵入して彼女の首を絞めた犯人がいる。

「犯人を探してほしい。でも、それ以上に私が死ななきゃいけない理由が知りたい。」

トークアプリの通知欄を再び表示させ、「承認」ボタンをタップする。

『で、犯人に心当たりは？』

俺は「友だち」に質問した。