期末試験

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「うちなあ、ほんまに好きや。そやけど、想いは、ゆえへんなあ」美香子は独り言ちていた。  夏休みが、間近に迫ったある日。美香子が通う高校では、期末試験が行われていた。 美香子は高2。なんとなく、いつも適当で過ごす。大学に進学しようと考えているけど、それはなんとなく、皆がそういった進路を選ぶから。将来に向かってやりたいことも特にない。考えることを先延ばしに出来るなら。大学に行って「学生」身分を味わおう。そんなモラトリアムな人間だった。だから、期末試験だからって焦ることない。成績はそれなりでいいのだから…。 そんな時、美香子が焦がれる相手が、国立難関大学に志望しているって耳に入ってきた。 「無理やわ。あと、一年半、高校でしか会えへんのやな。うちは、勉強なんて頑張れへんもん」 「美香子、何ゆうてんのん?」クラスメートの由佳が訝し気に聞いた。 「ああ、なんでもあらへん」美香子は、思わず口に出していたようだ。
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