僕は死ぬために生きている。

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この説明ですべてがわかるとおもうが、わかったか?」 言い終わると、はぁとため息が聞こえた。 王はあまり信じていないのだろうか。 僕にはそう問いかける自信はなかった。 「『陰』が存在しては、『陽』は呼べない。戦乱で疲弊した国を立て直すには、『陰』を排し、『陽』の出現を待つほかないからですか」 「そういうことだ、其方『陰』として見つけてから今日に至るまで、傍においていたのはそういうことだ」 「………」 王の様子が心配になった即金が声をかけてきた。 「王はお疲れである。『陰』の者よ。そこまでにせよ。後は明日、儀式を執り行う。…逃げようなどと考えるな」 「逃げてなんになりましょうか?」 「減らず口よ、王よ。もうお休みになってください。明日の儀式もあります故」 「相分かった」 王は気だるそうに部屋から出ていった。 側近もそれに付き従うように出ていった。 部屋に残されたのは僕と側近の一人だけだった。 「何故、僕が『陰』だとわかったのだろうか…」 僕は聞いてもいないだろうと思い、呟いた。 「…王は一目見て、其方だと分かったらしい」 「え?」 求めていない問に答えが返って来たことに僕は驚いた。 「『天』である王は、知っていらっしゃったのだ。血は抗えぬものなのだという。俺は知らぬがな。現にヒサト様が其方に懐いているのがその証拠でもある。あの方は敏い子だから。先天の眼は確かということだ。王は『陰』の者の出現とともにこの国が戦乱の世になるということを其方を見つけて以来、来るであろう未来を知っておられたのだ」 「………」 僕はただ黙って聞いていることしかできなかった。 僕の表情に何をおもったのか。 側近は僕に喋ることをやめなかった。 それは王に対する哀れみと憤りを感じた。 「知っていたのなら、何故回避しないのかという面をしているな」 「いえ、別に僕は」 「そう思うのはお前だけではない。俺もそうだ。避けることもできたはずだと。現に俺の血筋の者たちを多く失った。死んだものは帰ってこない。ならば何故、王は回避されなかったのかと。それがお前『陰』の者を殺してもだ。そうすれば、国は乱れなかったのではないかと…今でもそう思おう」 「僕には何もない…なのに…何故でしょうか…」 僕の問に側近は首を傾げた。 彼も知らないのだろう。 知っているのは王だけなのだろう。
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