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「ねえ。私の最期の頼み、聞いてくれる?」
彼女はそう言って、震える唇でこう告げた。
「私の肖像画を描いてほしいの。私が死んでも、あなたが寂しくないようにって。その絵を見て、いつでも私を思い出せるように」
「無理だ。君も知ってるだろう? 僕は風景画しか描けないって。人の顔なんて、一度も描けた試しがない。どんなに酷い出来になるか、わかったもんじゃない」
「それでもいいの。だからお願い、パラシオ。
あなたが私の全てを、忘れてしまう前に」
「シンシア!」
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