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アンリの言葉に目を開くと、目の前の鏡には自分の双子であるミーアの姿が映し出されていた。
「えぇ!?ミーアだ!これ、俺なの?」
「お二人は本当によく似ていますね……。」
アンリも鏡に映るユーリを見て、驚いている様子だ。
「これならきっとバレませんよ!」
「本当に?俺、変じゃない?男に見えないかな?」
「大丈夫です。どっからどう見てもミーア王女ですよ!」
ユーリは実のところ、一度女装をしてみるがどうにもならずに替え玉作戦を取りやめる……という流れを期待していた。
しかし、あまりにもミーアと瓜二つの姿に思わず言葉を失ってしまった。
「さ、準備が出来たことを報告して参ります。」
「……分かった。」
いよいよ本当に、ヴェルダニア王国へ向かわなければならないのだと、遂に彼は腹をくくったのだった。
***
ハーディテェルツ王城の謁見の間。
そこではヴェルダニア王国からの使者である騎士が王へ拝謁に訪れていた。
そこへ、アンリと兵士たちに連れられたユーリが訪れる。
「…………。」
アンリは緊張で小さく震えるユーリに気が付き、そっと彼に耳打ちをする。
「王子、大丈夫です。堂々としていてください。」
「わ、分かった!」
使者の配下の騎士達が、ユーリに気がついた途端にはっと息を飲む。
田舎の小国の王女と侮っていたのだろう、しかし彼は誰が見ても文句なしの美少女に仕上がっていた。
「おお、ミーア。ヴェルダニアの方々にご挨拶を。」
「はい、父上。」
使者の前に立ち、ドレスの裾を摘むと腰を曲げ、頭を深々と下げて挨拶をする。
「お初にお目にかかります。ハーディテェルツ王国第一王女、ミーア・トラン・ハーディテェルツと申します。」
皆の視線がユーリに注がれる。
「この度は遥々我がハーディテェルツ王国までお越し頂き、感謝致しております。」
使者はしばらくユーリの立ち姿を眺めていたが、すぐに跪き彼の手をとった。
「私はヴェルダニア王国騎士団、赤騎士隊長ディータ・エーレンベルクと申します。王女にお目にかかれて光栄です。」
そして、手の甲に唇を落とす。
「ひぇ!?」
「如何致しましたか?」
ディータと名乗った青年がプラチナブロンドの髪を揺らし、鮮やかな青の双眸でユーリを見上げた。
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