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皆、緊張と疲労のあまり肩を落としている。
「ユーリ、なんとかやっていけそうだな……。」
王も顔を青くしたまま、玉座に深く腰掛け直す。
「いや、でも少しの時間だけでしたから……。ヴェルダニアで過ごすとなると厳しいですよ!」
「そこはなんとか耐えてくれ!もし替え玉がバレたら我が国は、クロード王子をコケにした罪できっと潰されてしまう!」
「はぁ……。」
「ミーアが見つかるまでだ!今にヨルグが連れて帰ってくる!」
ユーリは王に生返事をすると、傍に立つアンリとフランツを振り返る。
「アンリ。ヴェルダニアまでついてくるって本気なの?」
「はい、ユーリ王子お一人ではドレスを着れませんでしょう?ヴェルダニアの方に着せて頂く訳にはいかないですから。」
柔らかい笑みを浮かべるアンリ。彼女の言うことはもっともで、ヴェルダニア王国の使用人に着替えを見られたら一瞬で男だとバレてしまう。
「フランツも……。」
「俺はユーリの護衛だ。お前を守ることになった時から、どこまでもついていくと決めている。」
幼い頃から護衛だったフランツの決心は固く、力強い眼差しでユーリを見つめている。
「でも、もし向こうでバレたら二人まで危険な目に合うかもしれないよ?最悪見せしめに処刑とか!」
大事な二人を危険に晒すことが、ユーリにとって非常に心苦しかった。
しかし、二人はそんなユーリの心配を汲み取り、笑い飛ばす。
「大丈夫です!王子が一番危険で大変な目に遭うというのに、私達がお城でゆっくりなんて出来ません!」
「……馬鹿だなユーリは。もしバレた時こそ、俺がユーリを守るから。」
「アンリ……フランツ……!」
二人の言葉に、ユーリは心配もどこかへ消えて、破顔する。
「ありがとうっ!」
その最上級の笑顔に、アンリとフランツは思わず目を背けた。
「うっ、王子ってばミーア王女より素直で可愛らしいっ!」
「死ぬ……ユーリのこんな笑顔向けられたら俺死ぬ。」
こうして、ヴェルダニア王国へ向かうメンバーが決まり、出発の準備が進められた。
***
「それではミーア王女、馬車へどうぞ。」
「……はい。」
ディータに手を引かれ、城の広場に停められた馬車へと案内されるユーリ。
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