天才過ぎる俺。

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 呆れながらも言い返すのが面倒になって、無視していた。 「酷いなぁ。大人気デザイナーは先輩を無視するような人なのか」  なんだ、そのわざとらしい話し方は。    紗南さんは、俺の仕事の先輩だ。知らない事が沢山あった俺に分かりやすく説明をしてくれたことは、本当に感謝している。  が、何だこの意地の悪い性格は!!!!!  前世は童話の中に出てくる魔女なんじゃないかと思う。本当にピッタリだ。毒林檎を与えて誰かを殺そうとする紗南さんが、容易に想像できる。  なんて怖い女だ・・・。  まぁ、あくまでも想像の話だが。 「おお、これはこれは・・・」  突然余所行きの声を作って話し出す紗南さんの目の前には、あの、大手企業の・・・ 「社長さんじゃないですかぁ」  社長?! 自分の仕事以外に何の興味も持たない俺でも知っている、あの、社長・・・。どういう事なんだよ・・・。 「先日はお世話になりました」  紗南さんて、こんな丁寧な話し方もできるのか。何で俺にはあんななんだ。俺だって天才的なデザイナーだぞ? そりゃあ社長程は稼いでないけど、少なくとも紗南さんよりは売れている・・・。まあ、そんなことを言ったら殴られる。いや、その前に、何度もうまいこと奢らされる気がする・・・。 「ちょっと、ヒロくん? もぉ、また巨乳美少女でも見つけたの?」  だから、何なんだその俺のイメージは。 「いや、紗南さんがお話しされてたんで・・・」 「もうとっくにどっか行ったわよ。ホントあの人、めんどくさい人」
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