彼等は人類が気になる様です

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 高校1年の春、事件が起きた。いつもの様に向かっていた俺の耳に、いつもとは違う声が、悲鳴が聴こえて来たのだ。 「……なんだ?……!!」  覗いてみれば、そこには一匹の野良犬と、 「ひゅぃ~~~!!」 「たしゅけれ~~わ~~ん!!」  ガタガタ震えている小人達の姿があった。一匹は足を乗せられてワタワタしながら泣いている。残りの仲間達も壁に追い詰められ、全員揃って漏らしていた。  観察している暇は無く、今にも襲い掛かりそうな野良犬をどうにかしようと、俺は走り出してしまった。彼等にまた驚かれるかもしれないが、言っている状況じゃない。 「おい!!止めろ!!」  駆け出して犬の首根っこを抑えると、そのまま少し離して犬を放す。野良犬はこちらを警戒しながら逃げて行った……はぁ、噛まれなかったか。  振り向くと、彼等の姿も無かった。やっぱりそうなるよなぁ……犬の存在で此処が危険と判断して場所を移す可能性もあるし……はぁ、失敗した。もう会えないかもしれない焦燥感に駆られて、憂鬱な時間に苛まれていた。  だがそんな考えとは裏腹に、彼等はいつも通りそこに居た。 (……何か探している?)  おっかなびっくりしながら、涙眼でそこら中を探しているのだ。何故だろう、探されているのは俺な気がする。 「でっかいのどこ~~?」 「お礼参りしたい感じ~~」 (……殺される?)  いや、多分そんなノリで出ている言葉なんだろう、うん。恐る恐る姿を表そうと出ようとしたら、  カンッ 「あ」  足元にあった空き缶を蹴ってしまった。一斉に彼等の顔がグリンとこちらに向けられる。  見つかってしまったならばしょうがない。出来るだけ怖がらせない様にする為に、正座をして待ち構えて見た。彼等はチョコチョコと近付いて来ると、まず膝にタッチして来る。 「「「……」」」タチタチ (何の確認だ……) 「「「……」」」ヨジヨジ (一斉に登って来た!?)  全員で膝上まで来ると、そこで全員俺と同じように正座して、 「きのうは、ありがとう、ございました!!」 「「「ました~~」」」  ははぁ、と土下座してくる。
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