彼等は人類が気になる様です

9/10
前へ
/10ページ
次へ
「あ、きた~~」 「でっかいさ~~ん♪」  そしてUFOの入口に小人がわらわらと屯っていた。待って、お前等そんなに数居たのか?ってぐらい沢山居た。 「あのね~、世界中からね~~」 「きた~~♪」 「そ、そうなのか。で?」  ぞろぞろと入って行く地球さん達を尻目に、彼等はこれから起こる事を教えてくれた。 「うんと~、今からね~。たびだつ~~」 「……えっ!?」  思ったよりも大きかった声で、その場の空気がシンッ……と静まり返ってしまった。だが彼等は止まらない。 「あのね、オゾン治すお仕事、する感じ?」 「……何の為に?」 「でっかいさん、居なくならない様にね、したいの」 「……」  それはつまり、自然保護。俺達人類という種を守る為に行動するという事だ。だけど何で急にそんな事を?今までずっと人間をどうにかしようって考えていたのに。その営みを守るのか?  彼等にしてみれば、俺達なんて滅ぼうがどうなろうがどうでも良い筈だ。なのに、 「でっかいさん、嫌なのも、良いのも、たくさんたくさん」 「けどこのでっかいさんは、一番良いから」 「だから、居なくなるの、や」 「……地球さん」 「「「さよならは、言わないベイベー!!」」」  最後に残った地球さん達もUFOに乗ると、それは独特な軌道を描きながら音も無く発進し、あっと言う間に夜空へと消えていった。それを俺はただ見守っているだけで、涙すらも出なかった。  呆気なく終わった関係、けど誇らしげに行ってしまった彼等に、俺は否定の言葉を紡ぐ事なんて出来る訳も無く。 「……学校、行くか」  いつもの日常が否応なく始まるのだった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加