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「あ、きた~~」
「でっかいさ~~ん♪」
そしてUFOの入口に小人がわらわらと屯っていた。待って、お前等そんなに数居たのか?ってぐらい沢山居た。
「あのね~、世界中からね~~」
「きた~~♪」
「そ、そうなのか。で?」
ぞろぞろと入って行く地球さん達を尻目に、彼等はこれから起こる事を教えてくれた。
「うんと~、今からね~。たびだつ~~」
「……えっ!?」
思ったよりも大きかった声で、その場の空気がシンッ……と静まり返ってしまった。だが彼等は止まらない。
「あのね、オゾン治すお仕事、する感じ?」
「……何の為に?」
「でっかいさん、居なくならない様にね、したいの」
「……」
それはつまり、自然保護。俺達人類という種を守る為に行動するという事だ。だけど何で急にそんな事を?今までずっと人間をどうにかしようって考えていたのに。その営みを守るのか?
彼等にしてみれば、俺達なんて滅ぼうがどうなろうがどうでも良い筈だ。なのに、
「でっかいさん、嫌なのも、良いのも、たくさんたくさん」
「けどこのでっかいさんは、一番良いから」
「だから、居なくなるの、や」
「……地球さん」
「「「さよならは、言わないベイベー!!」」」
最後に残った地球さん達もUFOに乗ると、それは独特な軌道を描きながら音も無く発進し、あっと言う間に夜空へと消えていった。それを俺はただ見守っているだけで、涙すらも出なかった。
呆気なく終わった関係、けど誇らしげに行ってしまった彼等に、俺は否定の言葉を紡ぐ事なんて出来る訳も無く。
「……学校、行くか」
いつもの日常が否応なく始まるのだった。
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