分署 警官達 囚人達

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 「馬鹿を言うな」東谷は沢崎を睨む。「おまえを自由にするわけにはいかない」  「自由になるとは言ってない。協力しようと言っているんだ」  「協力だと?」  「そうだ。もし敵がまた襲ってきたら、俺も殺されるかもしれない。それは嫌だからな。どうせ死ぬなら戦って死にたい。武器を預けてくれたら、さっき程度の連中ならいくらでも返り討ちにしてやる。こんな状況なんだ。共通の敵を協力して倒そうと言うんだ。おかしくはないだろう?」  沢崎がしっかりとこちらを見て言った。口元に笑みを浮かべているが、目は真剣だった。  「そいつはいい」大熊が久しぶりに大声をあげた。「俺も協力するぜ。俺も戦う」  「俺もやる」佐久間が立ち上がった。目は異様な光を放っていた。相棒の仇を討つつもりなのだろうか。  「それなら俺もやるぜ。その野郎にだけ武器を持たせるわけにはいかねえ」  遠藤が沢崎を睨みながら言った。  「ふざけるな。おまえ達を信用できるわけないだろう」  木戸が怒鳴る。立ち上がった佐久間を強引に座らせた。  「なんでだよ? あんた達だけより、俺らも加わった方がいいに決まってんだろ」  大熊が怒鳴り返す。  「いいわけないだろう。武器をよこせだ? 武器を持ったら、おまえ達は逃げるつもりだろう」  「ここからはしばらく出られないんだろう?」沢崎が冷静な口調で言った。「橋が下りて出られるようになったとしても、歩いて逃げるなんて無茶だ。今の俺達には、敵と戦うしか道はない」  「仮に……。仮にだ」木戸が沢崎の正面に立った。「協力して敵を倒したとしよう。その後おまえ達はどうする? おそらく、俺たちに銃を向けるだろう」  「そんなことまで考えちゃいないよ。それに、全員が生きているとも思えないしな」  「どういう意味だ?」  沢崎の言葉に木戸が顔を顰める。
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