227人が本棚に入れています
本棚に追加
/365ページ
「馬鹿を言うな」東谷は沢崎を睨む。「おまえを自由にするわけにはいかない」
「自由になるとは言ってない。協力しようと言っているんだ」
「協力だと?」
「そうだ。もし敵がまた襲ってきたら、俺も殺されるかもしれない。それは嫌だからな。どうせ死ぬなら戦って死にたい。武器を預けてくれたら、さっき程度の連中ならいくらでも返り討ちにしてやる。こんな状況なんだ。共通の敵を協力して倒そうと言うんだ。おかしくはないだろう?」
沢崎がしっかりとこちらを見て言った。口元に笑みを浮かべているが、目は真剣だった。
「そいつはいい」大熊が久しぶりに大声をあげた。「俺も協力するぜ。俺も戦う」
「俺もやる」佐久間が立ち上がった。目は異様な光を放っていた。相棒の仇を討つつもりなのだろうか。
「それなら俺もやるぜ。その野郎にだけ武器を持たせるわけにはいかねえ」
遠藤が沢崎を睨みながら言った。
「ふざけるな。おまえ達を信用できるわけないだろう」
木戸が怒鳴る。立ち上がった佐久間を強引に座らせた。
「なんでだよ? あんた達だけより、俺らも加わった方がいいに決まってんだろ」
大熊が怒鳴り返す。
「いいわけないだろう。武器をよこせだ? 武器を持ったら、おまえ達は逃げるつもりだろう」
「ここからはしばらく出られないんだろう?」沢崎が冷静な口調で言った。「橋が下りて出られるようになったとしても、歩いて逃げるなんて無茶だ。今の俺達には、敵と戦うしか道はない」
「仮に……。仮にだ」木戸が沢崎の正面に立った。「協力して敵を倒したとしよう。その後おまえ達はどうする? おそらく、俺たちに銃を向けるだろう」
「そんなことまで考えちゃいないよ。それに、全員が生きているとも思えないしな」
「どういう意味だ?」
沢崎の言葉に木戸が顔を顰める。
最初のコメントを投稿しよう!