分署 警官達 囚人達

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 「俺が思うに、全員が武器を持って敵に応戦したとしても、生き残るのはせいぜい俺とそこの元SATだけだろう。後は、運が良ければって程度だ」  沢崎が東谷を見ながら言う。さすがに全員息を呑んだ。  「てめえ、でけえ口を叩くじゃねえか」  遠藤がまた立ち上がった。それを抑える板谷。  「まあ、しかし、全員が武器を持てば、生き残る奴が増える可能性が大きくなるのは確かだ。その後どうするかは、それから考えればいいだろう」  涼しい顔をしながら沢崎が言った。  「駄目だ」東谷がピシャリと言った。「木戸さんが言うように、おまえ達のことは信用できない。いろいろな意味でだ」  「いろいろな意味って何だ?」沢崎が視線を向けながら言った。  「敵の目的がまだはっきりしない。おまえ達のうち誰かだというのは確かだろう。だが、殺害目的か、救出するつもりなのかわからない」  「つまり、俺たちの中の誰かが敵と通じている可能性もあるというのか?」  沢崎が言うと、遠藤や大熊が険しい目を向けてきた。  「その可能性もない訳じゃない」  「奴らは、俺たちを殺そうとしたんだぜ」佐久間が叫ぶようにして言った。「実際後藤は殺された。後藤の場合は流れ弾に当たったようだが、その前に、奴らは牢の中の俺たちに銃を向けたんだ。俺ははっきり覚えている」  本当だろうか? 東谷は佐久間の真剣な顔を見て考えた。もしそうなら、敵の狙いは誰かを殺害することに限定される。  「誰に対して銃を向けたのか、覚えていないのか?」  木戸が佐久間に訊いた。  「そこまではわからねえ。だが、連中のうち2人は俺たちに銃を向けた」  「いずれにしろ」話を長引かせるつもりはなかった。東谷が強引に言う。「殺害目的としても誰を狙っているのか不明だ。そんな状況でおまえ達を自由にするわけにはいかない」  言い切ると、佐久間も大熊も黙った。  「敵の目的、か……」  沢崎のわざとらしい溜息が聞こえてきた。
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