プロット 終章

2/5

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
 彼らクラスメイトは一応全員で永朔と加奈の家を訪ね、彼らが行方不明となったことを話し、そして謝罪した。  実際事件沙汰になり取り調べやら何やらですでに家族はそのことを知っているし、そのせいで揃って家を訪ねるのに時間がかかった。永朔も加奈も一軒家に住んでいたが、30人近い人間が入ることなど想定しておらずぎゅうぎゅうだったし数名は外に出たままだった。  歌春は、もし彼らの家族が納得できないようなら事実を話すつもりでいた。まぁ、信じてもらえないと思うかもしれないが、信じさせるモノを彼は持っている。  もちろん神器である。  神器はこの世界でも使えた。だが、それはあの世界から肉体ごと帰還できた歌春のみ。  ほかのクラスメイトは神器もないし、向こうの世界で過ごした期間の肉体的変化も元どおりになっている。  みんなで訪れたどちらの家族も悲しんではいたものの、クラスメイト全員がこうやって家を訪ねるほど自分の子供が想われていたことに喜びを感じていたようだった。  そしてなぜか、子供が行方不明になったというのに「そういうこともあるのかもしれない」という反応を見せた。  帰り際には「親がリアリストだったら終わってたな」と倖田が軽く言うが、本当にそうだろうと同意した。リアリストでヒステリック持ちだったらと考えると恐ろしい。     
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加