プロット 終章

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 クラスメイトたちは異世界で培った「戦いの勘」や体の効率的な動かし方、さらには武器の扱い方などの技術があり、体育祭のクラス対抗競技ではバカみたいにぶっちぎりで優勝した。  他にもさまざまな学校のイベントを、2年7組はどのクラスよりも楽しんだ。  そんな充実した日々を過ごしていた歌春は、ある日の学校帰りみんなで海に行くという誘いを(めちゃくちゃ悩んだ末に)断り、ある場所にやってきた。  住宅街にあるただの小さな公園だ。  記憶よりも古びてしまったがほとんど変わらない。  ブランコに腰掛けて赤く染まった空を見上げた。 「カッコつけんな歌春!」「死ね!」と声が聞こえて見て見るとクラスメイトたちが来ていた。  女子の水着が観れるかもしれないのに歌春が来ないはずがない! おかしい! ということで気になってつけてきたらしい。徒歩で来ていたためわりと簡単に付けられたそうだ。 「ここは……」  クラスメイトたちは公園に踏み入った瞬間に気づいた。  ここが彼の心の拠り所だった思い出の場所。紛れもなく、この公園こそが彼の【映】し出した世界。  もしかしたら歌春が彼と同じ神器を手にしていても、この景色が広がっていたのかもしれない。  それほど、思い出深く、気持ちのこもった場所なのだ。  夕陽によってオレンジに色づいた広場を見る。  ヒーローごっこをする幼い姿の彼の後ろ姿が見えた。     
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