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途中までは霧の内縁部を歩き、山をふたつ超えた先の渓谷を進めば、霧を出てすぐのところに小さな村がある。そこで暮らせ、そして霧の魔物に遭遇した時は決して感情的になるな、とのこと。
永朔は礼を述べ、深く頭を下げる。そして歩き出す。
永朔はエリエスの言葉に従う気は無かった。
永朔(俺はこの呪いだけで霧を攻略する)
そして自分に与してくれた者だけを連れて元の世界に帰ることを決意する。それが彼なりの復讐だ。
永朔のことでゴタゴタはあったが誰かが処罰を受けることはなかった。
クラスは着実に霧を攻略していく。
戦いには危険が付きまとうが、どうにか死人を出さずに攻略は進む。
貴族や王族が、クラスの寝泊まりしている施設や城に度々訪れて挨拶をしていく。
クラスメイトたちは国の人間、それどころかこの世界の人々に違和感を感じ始める。
攻略が進むさなか、歌春は永朔を常に気にかけるがふたりが霧の中で出会うことはなかった。
永朔は死にかけていた。
霧の中で自生自生する植物をある程度調べていたため食いつなげると思っていたが、しっかり勉強したわけではなかったのでそううまくいかなかった。
みんなに文句を言われないように懸命に調べ物をしていたのは〝フリ〟であり、自分の評価が下がらない程度に情報を探れば良いと思っていた。
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