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どこもかしこも古びて眠ってしまいそうなこの学校には本当に怪談がある。
古いっていうのはなかなか悪くない。勿論幽霊や物の怪とか、他にもその類のものには空気が思い切り吸えて過ごしやすいし、それに最近では中古品だの再利用品だのが随分重宝されているぞ。
古いものには人の記憶や温もりが降り積もって凝っているのだ。時間が歴史になり、記憶になり、終いに意志を持ってこの僕になる。
ああ、本当に神原薫は幽霊好きのする顔をしている。見ているだけでどきりとする。
この僕は実際鏡にも映らないものだから自分の顔が分からない。
一体全体本当に何の因果だったんだろう。
あの神原薫はこの学校のOGだと言っていた。この僕もずうっとこの教室に座っているところからして恐らくはこの学校の生徒だったのだろう。そしていつかの事、何かがあって死んでしまった。
死因も何もかも全く不明。
何となくそんなにすごく昔からいるわけではないような気がする。気が付いたらここに座る毎日が始まっていた。
ひょっとするとあの神原薫と同い年くらいだろうか。この僕はどんな顔をしているのだろう。担任とか古文の教師みたいな老け顔だったら嫌だなあ。体育教師みたいな鬼とゴリラの中間みたいな顔であってもショックを受けてしまいそうだ。
だが、しかし一つ分かっている事がある。それはかなり恐ろしい顔面であるという事だ。
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