神様、このひとをください。

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 晴人のように避けられるようになって、拒絶されて始めて相手の気持ちに気付く、なんて事はもう二度とごめんだと思う。  いや、矢田に拒絶されたら、晴人の何倍も、何十倍も、傷つく。 (・・・他の誰からも好かれなくていいから・・イオリさんだけには、嫌われたくない)  大好きな人を、怒らせてしまった。  これ以上、怒らせてしまったら、大事にしてきた場所を失ってしまう。 (・・・・・そんなの・・絶対やだ)  倫也は矢田が離れてしまうことを考えるだけで胸が痛み、張り裂けそうだった。  放課後になり、クラスメイト達が教室から次々に出て行く。  倫也は机に座ったまま、窓の外を眺めた。  結局、授業はまったく頭に入ってこず、一日を無駄に過ごしてしまったような気がする。ただでさえ授業に置いていかれているのに、勉強しなくては矢田の期待を裏切ってしまう。  分かっているけど、身が入らなかった。 「はあ・・・」  あれから矢田から連絡もない。  いつもマメに連絡し合う訳ではないので、このまま矢田のアパートに行ってもおかしくはないだろう。  だけど、本当にそれでいいのだろうか。 『僕だったら、そうするな』  今朝の晴人の言葉が木霊する。  倫也はスマホを取り出すとラインで矢田に『朝は本当にごめんなさい、今日は家に帰ります』とメッセージを送った。  するとすぐに既読になったが、しばらく待っても返事は返ってこず、矢田からの返事は諦めて学校を出ることにした。  自宅近所のスーパーでお弁当を買ってから帰宅すると、借家の前に人がいることに気付く。二人ぐらい、大人の男の人である。
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