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○同・同・廊下
勇者、書物の「地図」のページをめくる。
書物に迷路のような地図が表示される。
勇者M 「迷路か、面倒だな。現在地も分からないし、現時点では役に立たないか」
勇者、迷宮内を歩き回いていると、後ろから気配がしたため、構えをとって振り返る。
研究者 「待ってください。今暴力行為を行うと、魔術刻印が発動します」
勇者 「何……?」
研究者 「私の持っている規則には、そう書かれているのです」
勇者 「規則……」
勇者、構えを解く。
研究者 「よかった、貴方も攻略者なのですね」
研究者(22)、胸元の魔術刻印を見せる。
勇者 「……貴女も攻略者なんですね」
研究者 「ええ。規則を集めようという話になって、他の攻略者を探しているところです」
勇者 「〝話になって〟? もう既に出会った攻略者がいるんですか?」
研究者 「ええ。熊のような男性の攻略者と会いました」
勇者M 「あいつらと俺で4人、対してこちらは少なくて3人、だが既に合流出来ている。だとすれば俺が取るべき行動は……」
研究者 「……誰かをお探しで?」
勇者 「いえ。……規則を集めているところなんですよね。俺もぜひ、混ぜてくれませんか」
研究者 「もちろん。むしろお声かけしようと思っていたところです。案内しますので、ついてきてください」
勇者、研究者の後について歩く。
勇者M 「白衣に革靴。およそ迷宮攻略に来る出で立ちとは思えないな。体も細っこくて非力そうだ。こんな女が1人でこれまで生きてこられたということは、この迷宮、少なくともこの階層に怪物はいないな……」
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