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「最初は呼びかけられて、わけのわからないうちに。その次は終わらない戦争を止めたくて。その次は人質をとられて、その後は街を守りたくて……って、最初から最後まで記憶がある癖にこの最期を選ぶんだから、ほんっと懲りないわよね」
指折りに数えていくのも嫌になるくらい、我ながらどうかしている。
けれど、困ったことに後悔もしていなくて。
そして、そのせいで世界は今日まで停滞してきたのだ。
初めて何も分からないまま世界を救った時から私の魂は縛られた。
何度死んで、何度生まれても私はルーレリアと名付けられ、世界の便利道具になる。
魂を縛られたために、記憶を失うことも出来ず、ずっとルーレリアである私。
死の恐怖も、自分が世界のために消費されていく恐怖も覚えている癖に、最初以外は結局自ら贄になること選ぶ酔狂者。
……何でそこまで世界を、人を好きになってしまうのか。
嫌えれば、世界はもっと違う選択をしたかもしれないのに。
いくら『大好き』を作らないで生きようとしても、いつの間にか出来ている。
どの生でも20を数えるほど生きたことがない癖に、いっちょ前に大切なものを作っては、それを守るために死んでいく。
まぁ……だからこそのこの現状なのだけれども。
とりあえずどうにかなってしまえば、どうにかなるとわかっていたら、人も世界も何もしない。
人に関しては自分たちが世界を滅びへと誘っていることに気付いてすらいない。やれやれである。
一定の周期でくる滅びの始まりと、私の誕生。
しかし、さっき言ったように私の存在も尽きかけだ。
ただの人にすぎない私の魂は、世界を救う度に削れていき、もうほんの欠片しかない。
……だから、安堵したのだ。
ギリギリ、大好きを守るだけ残っている、と。
待っていろと、必ず帰ってくるからと、フラグでしかない言葉を残して行ったアイツを守れる。
「道具はそろそろ限界。今度こそ壊れるかもしれない」
湖の、世界の中心で零れるのは涙ではなく、自嘲。
それでもまだ道具で在れることに感謝して全力の魔法を使うのだ。
大好きを守る魔法。世界を停滞させてでも守る、私だけの、私を壊す魔法。
――行かないでルゥ姉っっっ!!
――みんな、何で優しく暮らせないのかな……?
――何でっ、一緒におばあちゃんになろうって言ったのに……!
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