第1章

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――おやつ、また一緒に食べようって言ったじゃない! ――どうせなるなら一人ぼっちより、二人ぼっちをお勧めるぞ? そんでもって最後は ぼっち卒業だ! ――ちゃんと、待っていてくれ。お願いだから、待っていてくれ。 ――やめてっ! 私にルゥを犠牲にさせないで!! 大好きな友達をとらないで!! ――お前はそうやって俺たちからお前を奪う! ――今度こそ、ちゃんと待っていてくれ。必ず、帰ってくるから。これが終わったら一緒に暮らすんだぞ。約束だからな?  頭によぎるのはこれまでと今。【ルーレリア】の大切な人たち。  何度生まれても出来てしまう大切なもの。  でも、人より沢山の大切を持ち続けていられるのは幸運だったのかもしれない。  私は、忘れないのだから。  大好きをみんな抱えて、喪わない。  何一つ大事なものを失くさずに、自分だけ舞台を降りるのは私だけの我儘。 「ふふ、特大の我儘。……道具最後の意地、しかと見てなさい?」  世界に宣い、手を組んで、私の魔法の象徴である羽根をだす。  私の身体をすっぽり覆ってしまうほどの大きな羽根。移り変わる色は孔雀もびっくりのグラデーションで、光顔負けの多彩さ。  私が、ルーレリアが、今までずっと磨き上げてきた自慢の魔法。 『願うは明日。希うは貴女の内。ルーレリアの名の下に、約束を。    為す未來、時。祈り、……続く限り』  今まで吹き付けるだけの風がぴたりと止み、代わりに私の魔法が世界の心臓を支配する。  柔らかく、優しく、労わるように。  傷は生命で癒し、毒は湖を通じて私に移す。 「っ、く、う……あ…」    馴れることのない脱力感と全身を刺されるかのような痛み。  体中の力が吸い取られていくのに、毒が体を巡る痛みはしっかり残っていて。  痛くて、苦しくて、痛い。  心臓が悲鳴を上げている。これから過ごすであろう筈だった時間を全部奪われていくのが分かる。  羽根が私を支えてくれなければ、とっくに倒れていただろう。 「っ、いた、い」  漏れてしまったのは弱音。  何度体験しても痛くて、苦しくて、怖くて。  でも、これは代償だ。  特大の我儘の代償は、一人でこの苦痛と恐怖に耐えること。  だから私は、尽きる瞬間までちゃんと立っていなければならないのだ。  飛びかける意識を必死で繋ぎとめ、心臓を抑えながら苦し紛れに虚空に手を伸ばす。 ――と。 「……え?」
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