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もちろん、もっともっと大きなからだで、多くの人たちの視線をあつめる水槽たちがいることも知っていました。“水族館”というところにはそんな大物ばかりが集まって、毎日毎日そのすがたを見ようとつめかける人々の相手をしているというのです。
華々しい世界にあこがれたことがないといえばうそになります。うらやましいなと思ったことだって何度もありましたが、それでもやはり、水槽さんは今の暮らしが好きでした。
誰にだって、自分の身の丈にあったしあわせというものがあるのです。さほど大きくないこのからだでは、水族館に行って巨大なスターたちの間にはさまったところで、ちっぽけなつまらない水槽に見えてしまうことでしょう。そんなのはとてもたえられない、と水槽さんは考えました。たとえ口々にほめそやされるような舞台には立てなくても、たっぷりと愛情をそそいで細やかな世話をしてくれる持ち主のおかげで、水槽さんはいつもしあわせでした。
ときどきは家に友人を招いた持ち主が、とくべつ綺麗に飾った水槽さんを披露して、自慢してみせることだってあるのです。愛されている気持ちでいっぱいになるそのひとときが、水槽さんは大好きでした。
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